後悔なんて、ひと欠片もない
彼は、正面のカフェにいる私に気がつかない。
なぜなら、和史さんの隣には彼と同じくらいの歳の綺麗な女の人がいるから。
栗色の巻き毛をした、小柄な可愛らしい女性。
水色の花模様のワンピースのお腹は、ぷっくりと膨れている。
青信号が点滅しだした。
和史さんはそのひとの手を握り、2人は急ぎ足になる。
和史さんは、私に見せたことのない穏やかな顔をしていた。
一度でいいからその顔で
「愛してる」と言って欲しかった……
不倫だったけれど。
彼を愛したことを、
後悔なんかひと欠片もしてないから。
fin
