【完】切ないよ、仇野君
私達水高バスケ部は各学年で実力のあるプレイヤーをレギュラーにしているのに対し、菊地は殆どが三年生。


それ故、チームワークには長けている、粘り強いチームらしい。


ジャンプボールには泰ちゃんが立ち、その自分より小さな挑戦者を、普段の穏やかさを潜めた獰猛な肉食獣のような瞳で見下ろしている。


審判の手からトスがふわりと上がり、白熱の試合が火蓋を切る。


ジャンプボールを恵まれた体格で奪った泰ちゃんから、ボールはポイントガードの椿へと渡る。


「まず一本確実に行くよ!」


右手でドリブルを打ち、左手の人差し指を立てた椿は、目配せして他の四人にサインを送る。


「「「「水高!水高!水高!」」」」


ベンチに控える皆が、ベンチには入れなかったがレギュラーを見守る部員が、声を張り上げその一本を見守る中、椿の手からボールは送り出された。


ぶつかるようなマンツーマンディフェンスを仕掛ける菊地の猛烈な壁を突き破る司令塔椿の一手を担うのは、斬り込み隊長のケイ先輩。
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