【完】切ないよ、仇野君
あれ……どこかで見たことあるような気がする。同じ学校の生徒だから、まぁ当たり前のことなのかも知れないけど。


思わずじっと見つめてしまっていたけど、はっと我に返って顔をゴシゴシ擦る。


「ごめん、なさい!大丈夫、ですけん」


「大丈夫な人は泣かんやろ。保健室まで着いてこうか?歩けんならおんぶするばい」


この優しいイケメン君の言葉に、私は篠田君の発言を思い出し、自嘲気味に言葉を返す。


「止めといた方が良かと思います。私、他ん女子よりデカかけん」


今は膝を抱えてしゃがんでるから小さく見える体を、私は恥ずかしく思いながら立ち上がらせる。


私に合わせてしゃがんでいたイケメン君は、立ち上がった私を見上げた。


どうせ、微妙な顔をして謝られるんだろう。


けれど、そう予測していた私を、イケメン君は斜め上を行く行動で裏切った。
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