壊れるくらい抱きしめて
優香さんが選んだお店は和風居酒屋。モダンな店内は昭和初期を思わせる様な佇まいでBGMは聞いたことがあるけどしらないと言うような昭和歌謡が流れている。

ここの角煮が美味しいのとニコニコと話す優香さんと店員さんに案内された場所は6人用の掘りごたつの個室。


同期は全員で5人だから広々使えるし、なかなか居心地が良さそう。


「やっぱり足伸ばしたいもんね。掘りごたつにしてよかった、よかった。でもまだ誰も来てないなんてどんだけ集まり悪いのよ、うちの同期会は!!」


優香さんが怒っている隙に一番端の目立たない席にそっと腰を下ろす。耳に入ってくる昭和歌謡がなんだか新鮮。また端に座るの?!と私の前に座る優香さんからとてもいい香りがした。


香水?それに優香さんの肌はとても綺麗。女子力があるってこういう人のことを言うんだろうな。


「で、何を悩んでたの?まだ誰も来てないんだし、さっさと吐いちゃいなさい!!」


ズイッと詰め寄られ眉間に皺が寄る。綺麗に塗られたアイシャドウ。決して濃すぎないチーク。甘い香りはグロスかな。


近すぎる顔を見ながらそんなことばかり考えていると個室の扉がノックされた。
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