ねぇ、どうしたいの?
「えっと……その財布を忘れてしまって」
「ふーん。てっきり盗み聞きが趣味の変態さんかと思ったよ。」
ば、バレてるし……。
「ご、ごめんなさい…」
「謝るって事は盗み聞きを肯定するだね。」
「え、いや、違っ――」
「ふふふ、やっぱり面白いね。一之木さんって」
宮塚くんがクスクスと笑う。
こんなにも………
「……何?」
優しく笑う人なのに、
「え、あ、何でもないです……」
どうして彼は冷たい態度を取るんだろうか。
「あの、」
「ん?」
教室に戻っていく背中を思わず呼び止めてしまった。
「いつも笑っていたらどうですか…?」
「…………」
途端に宮塚くんから笑みが消えた。
わ、私………絶対余計なこと言っちゃった。
「ほ、ほら!笑ってた方が近付きやすいですし!」
「……別に近付いてほしくない。」
ご、ごもっともなご意見で。
「で、でも……」
「と言うか、どうして一之木さんがそんな事言うわけ?」
「それは――」
「どうでもいいから、さっさと委員の仕事終わらせてくれる?早く帰りたいんだけど」
真底どうでもいいと言った表情に胸が苦しくなる。