ねぇ、どうしたいの?


「どこ?」
「ぇ………」


校門で立ち止まり、宮塚くんは言った。


「家、どこなの?」


この質問はつまり……


「本当に送ってくれるつもりですか?」
「さっきそのつもりだって言わなかった?」



そう言うことですよね。

てっきりあの場だけの発言かと思ってたのに…。

「あの私本当に一人で大丈夫で――」
「しつこいよ。そんなこと聞いてないでしょ。家、どこなの?」
「……尾久市です。」


宮塚くん、恐い……。


「と言うことは電車通学?」
「はい……ですから、あの」
「奇遇だね、俺も電車。行こうか」

ふわっと笑った宮塚くんは駅の方に向かっていく。

本当、あんな風に笑うなんてズルい。


普段は見られない表情。

どうしてそんなに見せてくれるんでしょうか?

嬉しい反面、苦しいのはどうしてでしょうか?

もっと近づきたいのに、恐いと思うのはどうしてでしょうか?


頭のいい宮塚くんなら答えを知っているんでしょうか?


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