茉莉花の少女
 彼女の家に着くと、彼女は家の中に入らずに庭に入っていく。

 彼女の後を追っていくことにした。

 彼女の足が家の裏側でとまる。そこには緑が生い茂っていた。

「これだよ」

「これは何の植物?」

「わたしの花」

 彼女は冗談めかした感じで言った。

「茉莉花か」

 彼女はその言葉に笑顔を浮かべていた。

「もうすぐ綺麗な花が咲くの」

「どんな花?」

「白くてかわいい花」

「先輩とは大違いな花ですね」

 わざとそんな言葉を掛けてみた。

 彼女は思ったとおりに頬を膨らませ、僕を睨む。
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