茉莉花の少女
「変なことを聞くけど、ここってお前の家か? 

今、奈良っていう表札の前に立っているんだけど」

「この辺りで奈良は僕の家だけだよ」

 そのとき、窓ガラスの開く音が聞こえてきた。

 そこから顔を覗かせたのは奈良だった。

「ちょっと頼みたいことがあるけど、おりてきてくれる?」

 奈良は電話を切るとすぐに出てきてくれるとのことだった。

 前もって彼女には無理強いをしないように言っておく。

 だめならだめで諦めるようにと伝えておく。
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