茉莉花の少女
 出てきた彼を見て、彼女はまた声を出した。

「ここって奈良君の家だったの?」

「そうだよ。何か用?」

 この二人は知り合いだったのか。意外な接点があることを知った。

 奈良はあまり女に執拗に接することはしないし、彼女もそうだ。

「あのお茶の花がほしいの。お願いします。挿し木にするの」

 彼女は頭をぺこりと下げた。

「挿し木ってこの時期でも大丈夫なのかな」
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