ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
速水さんは少し頭が悪いけれど、浮ついた人ではない。だから下心とか浮気してやろうとかってことではないんだろう。それはわかる。
けれど速水さんの彼女…阿部さんがそこまで怒る理由も、すごく分かる。好きな人が、異性に触れて笑っているなんて嫌だ。
…昼間のアレ、みたいに。
思い出すのは今日の昼間の、あの光景。取引先の男に頭を撫でられて、笑って、デートの誘いとも気付かずに頷く不用心な姿のこと。
「……」
思い返してまたイラッとしてくる気持ちに、それを紛らわすようにグラスの中のウーロン茶をぐいっと飲み干した。
「…とにかく、ちゃんと話は聞きましたから。帰ります」
「えっ!待てよ青井ー!」
「待ちません。すみません、会計お願いします」
そして半ば無理矢理話を終わらせて、会計を済ませた俺は、渋々ながらもついてくる速水さんと共に店を出た。