好きな人のお母様に恋心がバレました
「もしかして宮戸さん、
まだ見る映画決めてなかったりしない?」
「へ?どうしてですか?」
「実は俺、親戚に映画関係の人がいてさ。
今日も無料券もらったから来たんだけど、余ってて。
良かったらこれ、観ない?」
じゃん、と取り出されたのは、『君の声』と書かれた前売り券で。
なるほど、と思った。早百合さんがなぜ朝霞先輩がここに来るか知っていたか、わかったような気がした。
「……いいんですか?」
「いいよ、むしろ使って欲しい。
俺の家、弟と妹もいるんだけど二人ともこういうの観ないし、俺も一緒に行く人いない独り身だしさ」
「……じゃあ」
するりと先輩の手から券を取って、口元に持っていく。
そっと上目遣いで見上げて。
「……一緒に見てくれませんか?」
………これが私の精一杯です。
すると先輩はびっくりしたような表情をする。
その顔に怯んで、慌てて私は取り繕う。
「う、うそです。ちょっとわがまま言い過ぎましたっ!
ごめんなさい、休日くらい一人でゆっくりしてください、すみません!」