好きな人のお母様に恋心がバレました
ふわりと香る先輩のコロンの香りが、今の表情とは噛み合わなくて、なんだか可笑しい。
どっちが素なんだと言われたら、きっとこっちだ。
子供のような貴方の方と私は向き合いたいのだ。
「聞いたら、幻滅、しちゃうかもしれないですね。絶対しないとは言い切れない。
でも、知りたいです。
あなたのことが、知りたいんです、もっと」
「……なんでそんなこと言うの」
不安げな瞳は、理解し得ないものを見る目だった。
だから私は、分かってくれるように自分の気持ちを口に乗せる。
「………先輩は、絶対にひとを傷つけない人だと思ってました。勝手に、そんな風に思ってた。
だから、さっき、化粧似合ってないから落としてこいって言われて……ショックでした」
先輩は、申し訳なさそうに唇だけで声には出さずにゴメンと謝る。
だから、私はしっかりと先輩を見つめた。
謝るんじゃなくて、ーー私に、貴方を教えて。
「でも、でも私、間違ってたと思うんです。
勝手に先輩に、イメージを押し付けて、でも思っていたのと違ったら、先輩はあんな人だったのか、なんて。
今度はその酷いイメージを上書きしようとしてた。
……でも人ってたくさんいろんな面を持ってて、そんなの当たり前で。
だったら、そのいろんな面を一個一個知っていきたいと思ったんです」
私にはまだ、貴方の知らない部分が沢山あって。
だからこそこんなすれ違いが起きるのだとしたら、
「先輩がどんな風なことを考えてるのかとか、何が先輩の行動に繋がってるのかとか、そんなことを知りたいと思ったんです。
たとえそれが、狡くて汚くて冷たくて意地悪なーーそんな先輩の顔でも、私は、きっと嫌いになんかなれないような気がするから」
そんな部分も含めて、私は貴方を好きになる予感がする。