好きな人のお母様に恋心がバレました
「宮戸さ……」
先輩が私を呼ぶけど、その声も無視して、さらに追い立てるように言い募る。
「狡くて、意地悪ですね。
はぐらかさないで下さい。先輩自身を犠牲になんかしなくていいです。
それよりももっと私が納得できる、本当の理由を言ってください。ムカついたからだって言うなら、『何に』ムカついたんですか」
そう言うと、先輩はしばらく黙り込んだあと、参ったな、と呟いた。
手元の烏龍茶を一気に飲み干した彼は、もうどうにでもなれという風に口を開いた。
「……俺だけ、知ってたかった。
宮戸さんが可愛いなんて、別に今さらだろ。
なのに例えば塩谷とか部長とか他の奴らがさ、今さら宮戸さんを可愛いって思ってそういう目で見たとしたらってーー考えただけで、腹が立ったんだ」
先輩の裾を掴んでいた手が震える。
ーーこんなに嬉しいことを、言われたことなんかない。
須藤先輩の言うように、汚いところにこそ愛おしさがあるのだとしたらーーまさしくそれはこのことだと思った。