繋いだ手を
私の視線に気づいて、坂木君が首を傾げた。
「どうしたの? 何かある?」
振り向いて確かめる彼の仕草に、不自然さは感じられない。本気で何があるのかと窺っているようだ。
坂木君はひとりだったらしい。
安心していたら、ふと彼が視線を落とした。
「雪乃さん、今から風呂ですか?」
彼の視線の先には、私の手にぶら下げたエコバッグ。バッグの口から少しタオルが覗いている。
慌ててバッグを背後に隠したけど既に手遅れで、坂木君は私の後ろ側を覗こうとして体を傾ける。
「なに? 早く部屋に戻って」
「もう消灯してんのに、こんな真っ暗の中で風呂入るの?」
追っ払おうと語気を強めても効果無し。
まさにこれからお風呂に入ろうとしてるのに、余計なことを……真っ暗なんて言葉を口に出さないでよ。
「大丈夫、お風呂の照明は点くから」
きっぱりと答えながら、自分自身にも言い聞かせる。暗くても平気だと。