青春を取り戻せ!
立ち眩みを覚えるほど興奮した。
リンゲルと栄養素の中で生かしておいた各動物の胸線の重量と体積を測った後、その中に未知のホルモンを注入して、その日は帰った。
ベットの中でも興奮でなかなか寝付けなかった。
……明日、各動物の胸線が萎縮していた場合、求めていた胸線老化ホルモンの可能性が出てくるのだ。
翌日、朝一番で胸線の重量と体積を測定した。
僕の期待した結果は得られなかった。
多少がっかりしたが、一晩くらいでは萎縮は見られないだろうと考え直し、未知のステロイド・ホルモンを持って、今は城南大学の助教授になった以前の僕の先輩にあたる水島先生の所に、電子顕微鏡を借りに行った。
彼は無二の親友のように歓迎してくれ、もちろん機材を使用させてくれた。
電子顕微鏡に接続されたコンピューターで分子配列を映像化すると、A環とB環はエストラジオールと同じだったが、C環の配列が違っていた。側鎖の構造も異なっていた。
…やった!
…間違いなく、未知のホルモンだ!
僕は興奮でデータを持った手が小刻みに震えるのをどうしようもなかった。
たぶんその時の顔は、国会中に居眠りを注意された議員が見せる顔と同じくらい滑稽だったと思う。
お礼もそこそこに引き上げると、再びブタの胸線からホルモンの採取にかかった。
翌々日、胸線老化ホルモンと思える未知の物質を注入しておいた胸線の重量を測定した。
またもや期待した萎縮はみられなかった。