青春を取り戻せ!
僕は自分の拳を見つめ、肩で息をしながら、自分の取った行動に正当な理由をつけようと動きの悪くなった脳味噌を回転させた。

答えは出なかった。

…彼女が悪意で言ったのではないことぐらいは、愚かな僕でもわかっていた。

…根はやさしい子なのだ。 

その証拠に、僕のバッド・コンディションを毎日会っている未美が気付かないのに、母親のようなやさしさで見抜いていた。

こんな純真なハートを、僕の短気で傷つけてはいけない。 

つまり、この場合の正解は、答えではなく、あやまることかも……

フトンのなくなったベッドに横になり、思案を続けた。

…アッ!? 実験動物に餌と薬をやらなきゃ…

勿論、彼らは日曜日は餌を食べなくとも良いということはないのだ。

とりあえずこちらを優先することにした。


僕が半分ほど餌と薬を与え終わったとき、白木社長が突然入って来た。

「何だ君か?誰も居ないはずの日曜日に物音がするから、てっきり泥棒かと思ったよ」

「すみません。泥棒じゃなくて」

二人で笑った。

白木はこの処、例のイオンパインがダイエット・ブームに乗って売り上げが好調のために機嫌が良いのだ。

「ところで、このA群とかB群とか書かれたたくさんのマウスは何だね?」

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