青春を取り戻せ!
「残念ながら、ほぼ合ってたよ。…幸子さんのハンドバックから発見された指輪が、君たちの関係を裏付ける重要証拠として出されたのを、聞いてなかったのかね?」

…そんなバカな!?

頭を抱えた。

そして、『指輪に白木未美の頭文字を、“M・S”と刻んだネームの解釈は?』という質問を飲み込んでいた。

突然、おかしくなった。下を向いたまま笑った。

…自分の馬鹿さ加減にあきれたのだ。

…ネームは“M・S”と日付しか入れなかった。白木未美と丸山幸子は順序の違いはあるが、奇しくも同じ頭文字だったのだ。

次には、僕の様子を見て、口と目をアングリと開けている弁護士に、自分でも驚くほど冷静な声で尋ねた。

「現場が、僕の家のリビィングというのは確実なのですか?」

「あぁ、被害者はほぼ即死だったが、倒れた角度と飛散した血液、その凝固ぐあいなどを考えると間違いないだろう」

僕は眼を伏せた。

「わかりました。…それで、未美の偽証罪は立証できるのですか?」

「彼女は証言に先立って宣誓をしている。これは刑法第169条の偽証罪に間違いなく該当する」

「ですが、彼女の証言が嘘だという証拠が必要でしょう?」

「それは勿論だよ。客観的事実を裏付ける証拠で反論しなければならない」

「つまり僕の証言だけでは駄目ということでしょう」
< 86 / 202 >

この作品をシェア

pagetop