青春を取り戻せ!
彼はゆっくりと頷(うなづ)いた。
「彼女が僕の部屋に犯行の行われた時間にいたという目撃者や物的証拠がとれないと駄目ということでしょう?」
彼がもう一度頷くのを確認した。
「目撃者や物的証拠が見付かったのですか?」
「いや、事前に調べたところでは出てこなかった。警察の調査でもそういう事実は見付からなかった」
彼らが初めから僕を陥(おとしい)れようと考えて行動したのなら、そんなドジは踏まないと思えた。
…彼らは少なくとも僕よりは頭が切れると思えるからだ。
…まぬけな僕でも同じ計画をしたならば、目撃者や物的証拠が見付からないように細心の注意を払っただろうからだ。
チィッ!
僕は舌を鳴らした。
「では、どうやって偽証罪を立証するんですか」
「それはこれから証拠を見付ける」
「でも逆に、彼らは自分たちのアリバイを作ってるんでしょう。テレビのドラマにしても、車の移動にしてもそうだ」
「あんなものはアリバイに該当しない。ビデオを使えばいくらでも嘘はつける。
車の移動も、相手が一人だと思うからで、第三者がいたと考えれば造作もないことだ。
……白木猛という協力者がいればね」
僕は一回深く頷いた。
「しかし事前にそれを用意していたということは、準備周到だったという証明ではないですか?」