青春を取り戻せ!
「それは何ですか?」
「それは、証言者が記憶していると思っている通りを証言すれば、事実に反していても、偽証罪にならないということだよ」
そんなことを言えば、僕も単に眠気まなこで時計の針を記憶していただけだ。
僕の犯人としての証拠は腐るほどあるのに、彼女の偽証の証拠は今のところ何一つ見付かっていないのだ。
*
二回目の裁判は、未美の証言の正否と、凶器(刺身庖丁)についていた僕の指紋が何故左手のものだったのかということに焦点があてられ進められた。
検察側の見解だと、庖丁が左手に近かったので突発的に左手で掴み、右手を左手首に添え、柄を体で固定し、油断している被害者の背中に体当たりしたということだった。
それに対して、弁護側から選ばれた脳生理学と心理学のドクターが台に立ち、難解な説明をはじめた。
「情動の心にかりたてられ、欲求を満たす場合、対象をみとめ、相手を知ることができてはじめて欲求は能動的に満たされる。
それは印象の銘記とその再生、つまり記憶の仕組みがあってはじめて可能なことである。
その記憶の仕組みの関係しているのは新皮質の側頭葉であるが、印象が貯えられるのは古皮質(※本能を司る部分)を中心にした領域であることが証明されている。
被告人は箸を使ったり字を書くときなど、片手で出来る動作には右手を使う。
我々の観察だけでなく、交遊関係に聴聞した結果でも、右利きが明らかになった。
しかしそれは、のちほど詳しく解説するが、先天的要因か、または後天的な要因によるかによって今回の議題に多大に影響する。
まず統計上の数値を述べると、被告の両親は右利きでした。その場合の右利きの遺伝的素質は96.9%である。
「それは、証言者が記憶していると思っている通りを証言すれば、事実に反していても、偽証罪にならないということだよ」
そんなことを言えば、僕も単に眠気まなこで時計の針を記憶していただけだ。
僕の犯人としての証拠は腐るほどあるのに、彼女の偽証の証拠は今のところ何一つ見付かっていないのだ。
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二回目の裁判は、未美の証言の正否と、凶器(刺身庖丁)についていた僕の指紋が何故左手のものだったのかということに焦点があてられ進められた。
検察側の見解だと、庖丁が左手に近かったので突発的に左手で掴み、右手を左手首に添え、柄を体で固定し、油断している被害者の背中に体当たりしたということだった。
それに対して、弁護側から選ばれた脳生理学と心理学のドクターが台に立ち、難解な説明をはじめた。
「情動の心にかりたてられ、欲求を満たす場合、対象をみとめ、相手を知ることができてはじめて欲求は能動的に満たされる。
それは印象の銘記とその再生、つまり記憶の仕組みがあってはじめて可能なことである。
その記憶の仕組みの関係しているのは新皮質の側頭葉であるが、印象が貯えられるのは古皮質(※本能を司る部分)を中心にした領域であることが証明されている。
被告人は箸を使ったり字を書くときなど、片手で出来る動作には右手を使う。
我々の観察だけでなく、交遊関係に聴聞した結果でも、右利きが明らかになった。
しかしそれは、のちほど詳しく解説するが、先天的要因か、または後天的な要因によるかによって今回の議題に多大に影響する。
まず統計上の数値を述べると、被告の両親は右利きでした。その場合の右利きの遺伝的素質は96.9%である。