桃色初恋、甘口キス
今日は愛ちゃんの一大事だ。
こいつのバカ話に付き合う気にはなれない。

「いいだろ別に。放っとけ」

「何かお前、昨日から……。
いや、なんでもない」

ふん、と顔を背けると、黄原は何か言いかけて、やめた。

そして、いつもの時間。
愛ちゃんが、今日も時間ぴったりにそっと教室へ入ってきた。

「愛ちゃん!」

あたしは愛ちゃんに駆け寄った。

「うみちゃんおはよっ……!
あの、その……」

告白を前に緊張しているのか、いつもより頬の紅い愛ちゃんの耳元で、そっと囁く。

「放課後屋上ね?」

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