優しいカレの切ない隠し事


その圭介とわたしが付き合ってから、まだ1年と経っていない。

そもそも、わたしが転職してようやく1年なのだから。

だけど、時間の長さなんて関係ないくらいに圭介が好き。

背が高くて肩幅の広いところや、キリッと上がった眉に少し垂れた目元。

低くて色気のある声に、締まった大きな手。

そして優しい性格は、いつだってわたしを包み込んでくれる。

その全てが、好き。
ううん、言葉以上に好き…。

「陽菜ちゃん、顔がニヤけてる。毎日が楽しそうね」

ふいに隣のデスクの栞里(しおり)さんに声をかけられ、我に返ったのだった。
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