右隣の彼
「ねぇ・・」
「ん?何?」
「うちの両親はOKだったけど・・・その・・・岸田くんのご両親への
 挨拶ってどうしたらいいのかな?」
急に別の緊張が襲う。
忘れていた自分が一番良くないのだけれど
岸田くんのご両親に承諾してもらわないと結婚できないわけで・・・
岸田くんもお兄さんもイケメンなんだからご両親もきっとすごいんだろうな~
そんな中にこんな顔も中身も中でしかも年上の30女を紹介されたら
ドンびくだろうな~~
だってお兄さんのお嫁さんの美由さんだってすごい美人だし・・・
どう考えてもマイナス要素しか思い浮かばない。
だんだんブルーになる私に岸田くんがとんでもないことを言い出した。

「だったら今から話してみる?」
「はい?」
「・・・う~んちょっとまってて・・・」
岸田くんは時計をじっと見つめた。
え?!何言ってんの?今、夜の10時よ!今から挨拶なんて不謹慎すぎる。
それに心の準備なんかできてないんだから今日は無理でしょう~
そう思いながら返事を待っていたが
「ごめん多分今、二人共仕事で家にいないと思うから・・・とりあえず家で待って
 帰ってきた頃に連絡してみない?」
「え?いないって?岸田くんのご両親って飲食関係のお仕事でもしてるの?」
「違うよ」
「え?じゃあ・・・」
「庭師?・・・っていうのかな?あれは・・・」
「に・・庭師?」
びっくりして声が裏返って決まった。
だってこんな暗がりの中できる仕事じゃないでしょ?
わけがわからない。
「そう・・・っていうか・・・そうそうガーデニングの仕事してるんだよ」
「へ~~夜中に?」
岸田くんは首を横に振りながら夜中じゃないと激しく否定した。
全く話が見えない。
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