右隣の彼
「じゃ~いつ会えるのかな?こんな時間まで仕事している人と・・・」
少し呆れ気味に尋ねると岸田くんはまた時計をみた。
「そうだな~朝の6時ぐらいに電話したらいいかな。
 それより前でもいいけど俺起きれなないし・・・」
何を言っているのかわからなかった。
「なんでそんな早くに電話しなきゃならないの?朝の6時だなんて
いくらなんでも失礼じゃー」
「大丈夫。時差が9時間あるから向こうはちょうど21時かな」
今時差って言った?
なに?まさかの海外?
「ねえ・・・まさかご両親海外?」
岸田くんの答えはイエスだった。
「ごめん。言ってなかったね~」
聞いてません!ご両親のこと聞かなかった私も悪いけど・・・
「イギリスにいるんだ」
「え?!」
「元々庭師だったんだけどね、イギリスの本場のイングリッシュガーデン見たら
 目覚めちゃって、俺が中学生の時かな?俺と兄貴をじいちゃんに預けて2人でイギリス行っちゃって
 そのまま向こうで仕事してるんだ。だから直接は会えないけどスカイプで話せるからさ」
話せるからさって軽く言ってくれちゃったけど
初対面が液晶画面越しって・・・・どうなのよ。
と思うのだけど実際問題今からイギリスには行けるわけないし
電話よりは相手の顔も見れるからいいけど・・・いいけど・・・
朝6時なんて・・・
ダメだ・・・緊張してきた。
「ねえ岸田くん。朝6時なんて朝早いし緊張して私きっと眠れないよ」
おどおどしている私とは真逆の岸田くんが私の肩をぐっと引き寄せた。
「な・・なによ!私がこんなに緊張してるのに・・・もし私じゃダメだって
 言われたら私ー」
「それはないよ」
即答だった。どこからそんな自信があるのか・・・
「一美の事は付き合う前から両親に話してあるんだって」
「はい?」
「この人と絶対結婚するからって宣言したから、もううちの両親は一美の事
 よくわかってるし喜んでくれてるから安心してよ」

・・・・どうなんってんの?
私の知らないところであんたたちは一体私の何を話していたというの
岸田くんの事だから私のことを2割増し評価で言ったのかもしんないよ。
あわあわしている私の横で終始笑顔の岸田くんに
「はぁ~~」思わずため息が出てしまった。
だが
「そんなに緊張しなくてもいいって。それに眠れないなら眠たくなるような事
 しちゃうからさっ」
「はぁ?!」

いつの間にか着いていた岸田くんのマンション前で叫んでしまった。
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