右隣の彼

「一美さん！ごめんなさい」
いきなり謝る美由さんに驚いて、どうしたのかと聞くと
「しげちゃんから一美さんの事を聞いていたの。振り向かせたいけどどうしたらいいか
　相談を受けて・・・私が彼女がいるふりして恋愛相談したらどうかって提案したんです。
　よく言うじゃないですか相談に乗っているいるうちに好きになっちゃうって・・・
　でも一美さん一筋縄じゃいなかいって・・・・」
「美由おまえ！」
「駿君ごめん！でも・・・しげちゃん本気で一美さんの事・・・だから」
私の事で夫婦喧嘩なんかしてほしくなくて止めに入った。
駿さんは申し訳なさそうに謝るし、美由さんは美由さんで半泣きで
ごめんなさいを連呼していた。
「もういいんです。それは・・・本当に怒っていないんですよ。
　ただ私、岸田くんの返事にわからないって答えたんです。
だって意識したのはその・・・」
「ここで初めて飲んだ後？」
黙って頷くと、駿さんは全ての歯車がかみ合ったのがわかったみたいに
私と別れた後の岸田くんの様子を思い出していた。

そして私は本当の悩みを口に出した。
「・・・その後から岸田君・・・人が変わった様に私と距離を置くようになって
　仕事以外の事は一切喋らなくなったんです」
、