右隣の彼
岸田君は今の思いを一気に早口で話すと顔を真っ赤にしたまま
私から身体を離した。
「岸田・・・君」
私はこんな焦った岸田君を見た事がなくって名前を呼ぶので精一杯だったが

「ご・・ごめん!今の忘れて!…いきなりこんなこと飢えた狼みたいだよね。
あ~!俺のバカ」
岸田君はさっきの言葉を否定するように頭を下げた。
岸田君は顔を赤らめて謝るけど私はぜんぜん嫌だとは思わなかった。
むしろそこまで私の事を思ってくれていた事がうれしかった。
「忘れないよ・・・狼さん」
「え?」
「二人の距離を徐々に・・とか吹っ飛ばしていいよ。
ただ・・・私は岸田君が思っているほど大人じゃないから・・
手加減してね」
普通に言ったつもりだけど岸田君は再び抱きしめると
耳元で囁いた。
「・・・・ごめん。手加減できるか自信ないわ・・・おれ完全に狼になってるから」
クスッと苦笑いをしたかと思うとほんの少しだけ身体を離し、私を見下ろすと
目を細め顔を近づけ2回目のキスをした。
< 59 / 118 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop