右隣の彼

好き・・・大好き

私の身体をゆっくりとなぞるように触れる岸田君の手はまるで壊れ物を扱う様に
やさしかった。
さっきまで凄く上からな言い方だったのに…
触れる指さきがあまりに優しくてさっきまでの緊張がゆっくりと溶かされるようだった。

「そんな潤んだ目で俺を見るの反則なんだけど」
互いの唇が今にも触れそうな程の距離で囁く岸田君の声に
私は返事をする代わりにほんの少しだけ重力に逆らうと無意識に岸田君の唇にキスを落していた。
どうしてそうしたのか・・・・・
岸田君の驚く顔が見たかったから?
それともさっきからずっと岸田君の振り回されっぱなしだったから
ぎゃふんと言わせたかったから?

それとも・・・・
岸田君が愛おしかったから?

きっとどれも正解なんだと思う。

だって今・・・触れた唇を離したくないって思っているから

岸田君がほんの少しだけ私に体重を乗せて私の頭は完全にベッドの上に沈んだ。
長いキスに体中が熱くなる。
唇が離れると私を見下ろす岸田君の濡れた唇が色っぽくて
ドキッとしてしまう。
ちょっと前まで単なる右隣の後輩だったのに
今はもう違う。私の愛しい人になった。
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