右隣の彼
「あのさ・・・・」
「うん」
「夏さんが見たって言ってた岸田君と一緒にいたいとこって葵さんだよね」
「うん。」
「若いよね」
「・・・・俺より6こ下だから・・・22歳かな」
ガーン!ってことはさ私より9歳したって事じゃん!
おばさんって言われても文句の言えない歳の差だ・・・
「葵さんってさー岸田君の事好きだと思う・・・」
「知ってる」
「え?」
知ってるって?
しかも笑顔だし・・・・
「もうずっと言われ続けてる。俺が一美を好きになるずっと前からね」
「・・・・・・」
年齢でも負けて、かわいらしさでも負けてて、思いの長さは完敗じゃないのさ・・・
「でも、どんなに葵がかわいくたっていとこ以上には思ったことないし
 この先も好きになることはないよ。だって俺はこの先も一美以外好きに
なる人はいないからね。でも・・・・」
「でも?」
「あいつ相当しつこいからさ俺たちが結婚でもしない限り、諦めてくれそうに…ないかも」
ちょ・・ちょっと今、結婚とかいったよね?それもさらっと
私なんて返事したらいいの?

じゃ~結婚しちゃう?とか?
31歳のさらっと『じゃ~結婚しちゃう』は全然さらっとしてませんが!
それに始まったばかりの恋でその先の事とか考えてないというか
考えていいのかさえもわからない。
「一美?」
「はいっ?!」
やだ声が裏返っちゃってる。
岸田君は私の名前を呼んだきり黙って私を見つめる。
「葵には俺に今の気持ちぶつけて、釘もさしてきたから今日みたいなことは
ないけど・・・・」
岸田君の手がのびる。もしかしてキス?そう思って
目を閉じようとしたがそれはキスではなくて
「・・いいった~い!」
でこピンだった。
「一美は俺の彼女なんだからもっと堂々としててくれよ!」
「・・・岸田君」
「じゃないとまた葵におばさんって言われるぞ」
「え?」
なんで私がおばさんって言われたの知ってるの?
あの時岸田君いなかったじゃない。
「あいつから聞いたし、あいつ顔に似合わず相当口悪いからな」

…なるほどね
やっぱりこんなイケメンと付き合うってことはそれなりのリスクを
伴うものなんだと納得してしまったが、岸田君はまた私との距離を詰めてくると
私の両肩に手を置くとそのまま私を押し倒した。
「岸田君?」
「一美はおばさんなんかじゃないって俺が言ってやったから。安心してよ
だってこの服の下の柔らかい肌がその証拠だからね」
岸田君はそれだけどいうと私が何も言えなくするようにたくさんのキスを落とした。

なんかいろいろと課題は多いけど
今はこのやさしい手や唇で癒してもらおうと私は彼に身を委ねた。






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