もう一度、逢えたら…
速水君は入り口付近で
同じサッカー部だった小山悟史君にからまれていた。


「なんだよ、お前。

一丁前にお洒落なんかしやがって。

デートの帰りか?

久しぶりなんだから、こっちを優先しろよな。」


小山君はTシャツに破れたGパンをはいていたけど、

速水君はアイロンのかかった薄いブルーグレーのシャツに洒落た黒のパンツを合わせていた。


「違うよ、仕事だよ。

どうしてもやっておかなきゃいけない事があったの思い出してさ、

ちょっと会社に寄ってきたから遅れたんだよ。

これでも急いできたんだぜ。」


と速水君は戸惑ったように、
時計を見ながら答えていた。
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