絶対に好きじゃナイ!
「ちょっと遠いし、気にせず寝とけ」
「あ、あの、わたし別に……」
眠くないです、と言おうとしてわたしはハッと思い付いた。
「……昨日、あんま寝てねえんだろ?」
社長が柄にもなく遠慮がちにそう言う。
そっか、そうだよね。
わたしってやっぱりちょっとバカだ。
soir本社までの長い時間、ずっと沈黙なんてどう考えても気まずいじゃん。
だったらわたしに寝ててもらったほうが、社長だって気が楽でしょ?
「そ、そうですね。すみません、わたし少し寝ますね!体力温存!」
「……ああ」
ははは、と乾いた声で笑った。
社長はもう、本当に手の届かないところへ行っちゃったみたい。
こんなことなら、何も考えず昨日の夜抱かれちゃえばよかった。
そうしたら、わたしのはじめては全部社長だったのに。
たとえそこに、社長の気持ちがなかったとしてもーー
たぶん今わたしは泣きそうな顔をしてるから、涙が零れないように唇を噛んで顔を背ける。
助手席から窓の外を眺めながら、なるべく俯く。
全然、眠くなんてかなったけど。
わたしは無理やり目を閉じて社長のご要望通り寝たふりを決め込むことにした。