絶対に好きじゃナイ!

きっと……
ていうか、やったとしたらそれは社長しかいないんだけど。

わたしのシートベルトはいつの間にか外されていて、あまりの鈍さに恥ずかしくなる。


わたしは慌ててドアを開けると車の外に飛び出した。
社長ががさごそと後部座席から荷物を取り出して、ドアを閉めて鍵をかける。


「あ、あの、社長。わたし持ちますから……」


あの資料、結構重いし。

長い距離を運転させてひとりで爆睡してて、その上荷物まで持たせるなんてさすがにできない。


「あ? いいから、お前は自分の鞄だけしっかり持っとけ」

「い、いや、そうは言ってもですね……」


食い下がるわたしを、社長が鋭い目線でギロリと睨んで黙らせた。


うぅー!この不良社長!

なんか、わたしが寝てる間にすっかり元に戻ってない!?


すたすたと歩く社長の後ろを渋々黙ってついて行く。
地下駐車場を出るとすぐ目の前に大きなビルがある。

まだ新しい、soir本社だ。
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