絶対に好きじゃナイ!

「え? あ、ああ、そうですね……」


社長の問いかけに、安達医院長は少ししどろもどろで答えた。

視線が忙しなく動く。


どうしたんだろ?
わたしと話してるときは、ちゃんと話している人のほうをまっすぐに見てるのに……


それからいくつか質問を重ねる社長に、どこか上の空で答える。

そんな医院長を、社長はまっすぐな視線で捕らえるようにして見ていた。


そうしているうちに、わたしにもやっとわかった。
医院長が見てるのは"話をしている人"じゃなくて、"わたし"なんだって。

ううん、もっと正確に言えばわたしのーー


ブラウスのボタンは、いちばん上まできっちり閉めてある。
だけどてっきり椅子に座ると思ってたから、いつもの感覚で普通にスカートを履いてきちゃった。

それに、紫枝さんと結木さんの話を聞いたからってあまり警戒しすぎるのも失礼だと思ったの。

だって、これからお仕事させてもらうお客様なんだもん。
< 61 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop