絶対に好きじゃナイ!
「もう限界」
珍しく切羽詰まったような声を出した社長が、わたしの首筋に顔を埋めた。
社長に借りた薄いTシャツの上を、少しゴツゴツとした男らしい手が滑っていく。
「梨子」
わたしの名前を呼ぶ、甘ったるい社長の声がする。
すごくすごく、不思議。
もちろん、虎鉄にいろんな女の子がいたのは知ってるけど。
でもあの虎鉄も、本当にこんなことするんだってちょっとびっくりする。
わたし、これから虎鉄とするんだ。
記憶の中にいる虎鉄と、目の前の社長がぴったりと重なった気がした。
この人が、わたしのはじめての人ーー
社長がTシャツの裾に手をかける。
「梨子、ほんとにわかってるか? これ以上進んだら途中でやめてって言っても絶対最後まで……」
言いかけた社長が、自分の言葉にハッとしたように動きを止めた。
な、なに?
わたし、何か失敗した?
不安になってわたしまで身体を固くすると、大きな溜息を盛大に吐き出した社長がぽすっと胸に顔を埋めた。