絶対に好きじゃナイ!

社長に与えられた熱で身体はほてったままなのに、少しずつ心の奥が冷えていく。


別に、社長はわたしのこと好きでもなんでもないかもしれないんだ。

地元の知り合いで、妹みたいに可愛がってて。
自分の会社に誘って、たまたま近くにいるからちょっと気になって遊んでるだけかもしれないよ?



胸の中でこだまする、臆病なわたしの声。

さすがに本気で社長がそこまで酷い人だとは思ってないけど、一度不安になるとネガティブな思考は止まらない。



もしこのまま抱かれちゃったら、わたし本当に"特別"じゃなくなっちゃうんじゃないの……?

虎鉄の横を通り過ぎて行った、たくさんの女の人の中のひとりになっちゃうかもしれない。



「や、やだ……!」


そんなのヤダ。

わたしにとって虎鉄は"特別"なのに!
虎鉄にとっても特別でいたい。

同じ気持ちを、社長にも持っていて欲しいのに……!


思わずソファから立ち上がって、自分の考えにハッとした。



わたし、いつの間に?
いつの間に、こんなに社長のことーー
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