絶対に好きじゃナイ!
社長のことを好きじゃナイなら、このままながされたっていい。
適当な気持ちなら、熱くなった身体が望むまま社長に身を任せればそれでいい。
社長なら、きっと優しくうんと良くしてくれる。
だけど、できない。
このまま社長にとろとろに溶かされてしまいたい気持ち。
それよりももっと強い、不安な気持ち。
たった今気付いた、心の奥に芽生えていた身を焦がすようなこの想いが。
そのまま凍りついて、二度と後戻りができなくなる怖さ。
きっと、あの頃の虎鉄を本気で好きな女の子もいた。
本気で好きだからこそ、適当に相手をしてもらうなんて絶対イヤだと思っていた女の子だってきっといた。
わたしも、イヤだ。
このまま社長にとって"その他大勢"の女の子になっちゃうのは、絶対にイヤだ!
心臓がどくんと、嫌な音をたてた。
気付くとわたしは両腕にぎゅっと鞄を抱えてどたばたと玄関に向かっていた。
何かに追われるように焦る気持ちを宥めて、なんとか靴を履く。