絶対に好きじゃナイ!
今、何時くらいなんだろう……
しばらく走り続けてふと思った。
深夜と呼ぶにはまだはやいはずだけど、あたりは真っ暗で街灯だけが微かに道を照らしていた。
もっと大きな道を選べば人通りもあるだろうけど、何しろ勢いのまま飛び出して来たから薄手のTシャツが心許ない。
社長の住むマンションからだいぶ離れたところで少しスピードを緩めた。
たぶん、こっちへ行けば家に着くと思うんだけど……
久しぶりに走ったせいで、ちょっと疲れちゃった。
道を探りながら暗い路地を進む。
駅裏のほうにまわってきてしまったみたいで、あまり馴染みのない場所だった。
今ごろ社長は、わたしが逃げ出したことに気付いただろうか。
なんて思ったかな?
社長とそうなること自体が嫌だったんじゃないんだけどな……
社長のことを考えて俯いた瞬間、突然後ろから腕を掴まれた。
「き、きゃあーーー!」
「しー!静かに! 変質者と間違われちゃうでしょ!」
ぎゅっと目をつぶって掴まれた腕をぶんぶん振り回しながら叫び声を上げると、聞き覚えのある声が頭の上から降ってきた。