絶対に好きじゃナイ!
「え?」
その声に恐る恐る目を開いて、ゆっくりと見上げた先でわたしの腕を掴んでいたのは……
「か、要さんっ!?」
「ははは、あーびっくりした」
それはこっちの台詞だよ!
「梨子ちゃんってば、急に大声出すんだもんなあ」
それはあなたが急に腕を掴むからでしょ!
けらけらと笑う要さんに何一つ言い返せないまま、わたしはぽかーんと見上げていた。
社長のお友だちで、この間合コンで偶然再会した要さん。
勝手に社長に連絡してて、からかってわたしにキスをしようとして、そしてそれからわたしは社長とーー
何がそんなにおかしかったのか、ひとしきり笑うと眼鏡の奥の切れ長の瞳を緩めて言った。
「うーんと、その格好は虎鉄の部屋から出てきたんだって思っても大丈夫?」
「え? あ、ああ……、まあ……」
わたしは自分の格好を見下ろして、社長の大きなTシャツの裾をぎゅっと握った。
ちゃんと丈は膝上まであるし、部屋着には十分な長さだったけど。
さすがに外を出歩くには、心許ない格好だったかもしれない。