それだけで、キセキ。
しがみついて泣くしかできない私を労わるように、爽太の手のひらが髪を撫でて行く。

あの日、酔った勢いでこの手を繋いでいなければ、これほどの幸せを手に入れることはできなかっただろう。

そう思うと、出会った日から今まで、二人の間に起こったことすべてに、感謝したい気持ちになる。



「俺たちってさ、変わった出会い方したでしょ?」

「うん.......。」

「いろんな偶然が重なって、あの日、あのお店で出会って、その後も普通じゃないことがいろいろあったけど、俺、智子じゃなかったら、あの状況で六こ上のお姉さんと付き合おうなんて思わなかったと思う。」

「それは、私も同じだと思う。」

「でしょ? これって、ある意味、奇跡じゃない?」

「そうかも.......。」

「俺にとっては、智子が俺をこんなに愛してくれて、今、こうして腕の中にいること自体が、信じられないような幸せなの。だから、智子がそばにいてくれれば、それだけで奇跡って思ってる。」

「.........うん、ありがとう。」
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