オレ様探偵とキケンな調査
「切って…ください」


「え?」


「バッサリ切ってくださいっ」


「あ、ハイ。カットですね?こちらへどうぞ」


大きな鏡の前に座るよう促してくれたおばさんは、あたしのコートを受け取り、雑誌を3冊目の前に置いてくれた。


あたしはその本のページもめくらず、ただ、


「ストレートのショートボブで」


と、告げる。


おばさんは接客スマイルで「せっかくきれいに伸ばした髪なのに、残念ね」なんて笑うけど。


あたしはもう、うわべだけのキレイなんて、いらない。


“優しそうな旦那さまね”


“仲がよろしいこと”


そんな仮面夫婦、もう演じることもないんだから。

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