オレ様探偵とキケンな調査
な、なんて失礼なっ!!


あたしが信吾さんを裏切って、不倫!?


あり得ないですからっ!!


「なんて、な。アンタ、能面みたいなツラしかしねぇから、ちょっとからかってみただけ。身の潔白はオレ自身が証明できるから安心しろ。はぁー…アンタの旦那の夜通しのセックスでオレ、クタクタ。少し寝るから、事務所の掃除頼むな」


「ッ!!」


な、なんでっ!?


あたし、まだここで働くとか言ってないんですけどっ!



「あの…っ!」


「ZZZ…」


文句を言いかけたあたしの言葉を遮ったのは、帯金さんの大きないびき。


うぅぅぅ…。


これもあたしの依頼の睡眠不足からくるものだ、と。


半ば同情が混ざってしまい、起こしてまでアレコレ詰め寄る気も失せてしまう。


「働く…ここ、で…?」


「と、いうことで、鳴海さん。よろしくお願いします」


なぜかにこやかな小松さんの手には、バケツと雑巾。


あたしはそれを渋々受け取り、事務所の掃除を始めるのだった───。
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