オレ様探偵とキケンな調査
「小松のオッサン、気が利かねぇっつーか、ギリでセーフっつーか、な」


あたしをいたずらっぽく見て、八重歯を見せて笑った。


あたしはひきつってでもごまかして笑いたいのに笑えなくて。


何も言えず、静かにソファーに腰掛けた。


あのまま。


あのままキスが続いてたら、どうなっていただろう。


そう思うと急に怖くなった。


だって、あたしはまだ籍を抜いていない信吾さんの妻。


今、不貞をはたらいてしまったら…同罪。


どうしてキスなんてしちゃったんだろう…。


拒むこともできたはずなのに。


それに…なぜ…?


なぜ帯金さんはあたしを抱き締めたの?


なぜあんなに潤んだ瞳であたしを見たの?


なぜ…キス…したの?


考えれば考えるほど、わからない。
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