ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜

「そんなに簡単なことじゃないの・・・」

「ずっとこの世界にいたいってことは、この世界を気に入ってくれたってことでしょ?」

「うん・・・でも」

「元の世界でなにか辛いことがあったのかな?」

「・・・うん」


ハジの優しい声色に、ゆのは心が溶かされていった。


「この世界にずっといる方法もあると思うよ」


それはない、と心で思ってしまうゆの。


「君の悩みはもっと深いところにあるんだね。いつでも相談にのるから。さぁ、今はこの茶菓子をお食べ」


サクッと香ばしい、クッキーのような茶菓子を勧められた。

帰りたくないと思っていることを聞いてもらえて、なんだかひとつ心が軽くなった気がした。


「ありがとう・・・。私がお礼をするはずだったのに・・・」


申し訳なさそうなゆのを見て、ハジは提案した。


「それならまたこうやってお茶を一緒に飲んでほしい。甘いものが好きなんだけど、男一人だとちょっとね?」

「わかった!」


全開の笑顔が眩しい。

大きな目が細まって、頬はピンク色で。
爽やかな風が、漆黒の髪をなびかせていた。


ーーー欲しい?

いや、気のせいだろう・・・。

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