危険なアイツと同居生活
真紅のドレスの女性。
その大きく開いた背中に、碧の手がかかる。
ゆっくり女性を抱き寄せ、首に顔を埋める碧。
激しく降る雨が、真紅のドレスを暗く染めていく。
その中でびくんと身体を震わせ、碧にしがみつく。
茶色い髪に顔を埋め、こっちを睨む碧。
その怪しくて官能的な瞳に吸い込まれそう。
女の首に唇を這わせ、女は小さく震えている。
そして再び碧は妖艶な睨みを効かせた……。
言わなくても女性が誰か分かる。
もちろん、あたしだ。
あたしはあの時、ただただ緊張していた。
だけど、蒼があたしの耳元で、甘く優しく囁いてくれた。
それであたしは必死で蒼にしがみついていた。
ただ、それだけなのに……
なのに、あの時、碧があんな表情をしていたなんて。
あんな顔であたしを抱きしめていたなんて。
そして……
あたしは、あんなにエロく映っているなんて!
考えれば考えるほど顔に血が上って。
この場から逃げ出したいほどの恥ずかしさに襲われる。
あぁ、穴があったら入りたい!!
飛び跳ねるのも忘れ、ぽかーんと突っ立っていたあたし。
ただ某然と、MVと蒼を見つめる。
演奏後のほんの一瞬、蒼があたしを見て笑った……気がした。