危険なアイツと同居生活






涙でずぶ濡れの顔を隠し、通用口で名前を言う。

その間にも新しい涙は溢れてきて、床をぽたぽたと濡らす。

警備員は気の毒な顔であたしを見て、奥の部屋を指差した。




震えながら一歩、また一歩と近付く。

やっと……やっと蒼に会える。

愛しくて愛しくて、愛しすぎる蒼に。








「唯ちゃん!」




あたしの大好きなその声が聞こえる。

温かくて柔らかい蒼の声。

あたしは涙を流したまま、蒼に飛びついていた。




「唯ちゃん、ただいま」




蒼は、いつもの優しい笑みを浮かべてそう言った。



< 304 / 528 >

この作品をシェア

pagetop