危険なアイツと同居生活
「憎んだよ。
プライドズタズタにされて。
そんな僕に、ある提案をした女性がいる。
……蒼君から唯を奪い取ってって。
そうしたら、蒼君は立ち上がれないから」
「えっ……誰が……」
眉を寄せて僕を見る蒼君。
まるで寂しげな子供のよう。
「モデルの、川藤ゆり」
「え!?」
蒼君の顔色が悪くなる。
目が座り、口元をきゅっと結ぶ。
「マジで……あの女……」
そう呟いた蒼君は、何だか碧みたいだった。
唯のことになると、本気になる蒼君。
本当に唯のことが好きなんだろう。
こんな蒼君の気持ちを踏みにじって自己満足しようとした僕は、とても愚かだった。
蒼君をどれだけ痛めつけても、状況が変わるわけじゃないから。