危険なアイツと同居生活
「ごめん、あたし今、大事なところ」
「……はぁ?」
間抜けな声を出す蒼。
「蒼は黙ってて!
今、FのライブDVDでトリップ中なの!」
そう言ってボリュームを上げる。
ズンズンと低音が響き、碧の艶やかな歌声が部屋を埋め尽くす。
「あぁ、碧……超かっこいい」
涙目のあたし。
心が震えておかしくなりそうだよ。
ほんとにほんとに、あたしは骨抜きになってしまうよ。
そんな中……
ブチッ!!
嫌な音とともにテレビが真っ暗になる。
心地よいあの歌声も、あたしの耳の中で響いているだけ。
「あぁ……碧……」
テレビにすがりつくあたし。
ひどい……
あたしの至福の楽しみを!