恋色花火



…………アホらしいなんて言って、去年女の子と見てたじゃない。



そんなあたしの嫌な部分を飲み込んで、名前って? と聞きなおす。




「恋色花火」




真っ直ぐ前を見て、なんでもない噂話の様に話すユウヤ。


「恋色……花火?」



「花火作ってる老舗のとこの孫、俺らのちょっと上くらいなんだけどさ。家継いだんだって。
 それで、そうなっちゃったらしい。
 さっきコンビニから出てきた中学生っぽい子が話してたんだ」



アホらし、とユウヤが笑う。


だけどそれはどこか遠慮気味に見えた。




……そっか。


ユウヤもその"恋色花火"の時には、彼女のところに行ってあげるんだ。


そのことを話すために……こんな話を。

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