誘惑のプロポーズ
「や…んっ…ちょっと!」
これまで一度もしなかったのに、噛みつくように所有欲の証をつけていく彼に驚きと戸惑い感じて混乱する。
「おまえは俺のものだ」
「んっ…そんな……あぁ…」
立ったままなのに彼の手が知り尽くしているスイッチを押して身体に火をつけていく。
「はぁ…んんっ……」
スカートの中から手が這い上がってきて、中心を焦らしながら肝心な所で彼が動きを止めた。
「たく…み?」
「破かれたくなかったらyesって言え」
そんなのズルい。
でも。
ストッキングは破かれたって替えがあるから困らないのに、頭の片隅でそれじゃダメだと警笛が鳴っている。
「本当に私でいいの?」
「私が、いいんだ」
断言する彼の顔は真剣だ。
「朝、苦手だよ?」
「知ってる」
そうよね。
泊まった日の朝食はいつもあなたが作ってくれるんですもの。
「ものすごく出不精よ」
「それも知ってる、これまでだってどこかに
連れ出したりしてないだろ?」
そ、そうね……
いつものんびり家で過ごしてあなたは帰っていくんだった。
「他には?」
他に?
他に何があるかしら?
「おまえが何にも考えなくていいよう、
俺が何でも考えてやるぞ」
うわっ、それってすごく魅力的じゃない?
確かに身体の相性は抜群だし、一緒にいても居心地よくいられるし……
「あ……」
これまでの二人の関係を思い起こしてハッとした。
私、この人の前ではいつの間にか素だった。
その事実は雷に撃たれたような衝撃となって全身を貫いた。