愛されることの奇跡、愛することの軌跡

・都心の別邸にて

マサさんのお店を出て、黙って健吾さんは運転をしていた。

どこへ行くんだろう。

すると、車は首都高に乗った。

「え?どこ行くの?」
『俺の好きなところ。そんな遠くないから』

車は程なく、首都高を降りた。

ここは、どこ?

『成瀬川家の別邸だよ』
「別邸?」

こんな東京のど真ん中に、こんな森みたいなところがあるんだ。

さすが、成瀬川家。しかも本宅じゃないんだもんね。

「誰かいるんじゃないの?」
『いや、ここはたまに手入れをしてるけど、屋敷自体も古いし、今は誰も住んでないんだ』

健吾さんが鍵を開けると、日本家屋の独特の香りがした。
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