愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『先生!』

大森ユウコちゃんのこの声とともに一気に喧騒がなくなった。

『何だ?』
『さっきの学級委員選出の話、私はやっぱり納得できません』

先生は表情を変えずに答える

『その話か。さっきは時間なかったからな』
『先生は最初から金澤さんに決めていたということですか?先生は金澤さんとお知り合いなんですか?』

お知り合い?なのかも知れないけど、先生の態度からして私を覚えているとは思えないので、ユウコちゃん、違うから。

何かここまで来ると、ユウコちゃんは女の意地なんだろうな、と、客観的に見てしまう。

『勘違いするな。俺が教室に入る前から決めてたのは、出席を取った時の返事の態度が一番悪かったやつにしようというところまでだ。その時点で金澤とは特定してないぞ』

そう言えば、私、名前呼ばれてもいろいろ考えちゃって返事しなかったんだ。
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