愛されることの奇跡、愛することの軌跡
「あ、はい。起立!礼」

ちゃんと出来たかなぁ、私。

『あ、金澤、学級委員の最初の仕事として手伝って欲しいことがあるからあと10分くらいしたら社会科第二準備室に来て』

社会科第二準備室?
どこ?そんな部屋あったっけ

「どこにあるんですか?」
『吹奏楽部の部室の斜め向かいだ』

え?あんなヘンピな場所?
あそこは最近まで、備品倉庫じゃなかったっけ

「わかりました」

私は吹奏楽部なので、場所はその説明だけで十分だった。

先生は教室を出た後―

『うわぁ、早速こき使われるんだ。何かあの先生、カッコいいんだけど心がないよね』

"冷たい、サム!"って美郷は言う。

『やっぱりカレの方が優しいよなぁ。カッコいいしぃ』
「はいはい。どうせ私は傷心の独り身なうえ、橋本先生に生け贄として自らの身を差し出さなきゃならないですよ。ノロケは学校の外でお願いします、美郷さん」
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